【無駄毛物語】

脱毛

今は昔、ムダ毛の翁といふものありけり。

社会にまじりて糧を取りつつ、よろづのことに使いけり。名をばパカオの造となむいひける。

 

翁の体はムダ毛に覆われ、腕、胸、腹、脚、背中と黒々したもの生えけり。

世の人は翁を見て馬鹿にし、口を覆ふものもありけり。

翁、それをたいそう聞いて悲しみ、其の毛をなんとかしようとするも、毛、その思いに謀りてようよう増えゆく。

翁の体、毛によりてさらに黒くなり、世の人、翁の体を指して大いに笑ひける。

 

翁、何もできぬまま月日経ちて、ただ毛に覆われるなり。

世のこと己のこと、すべて悪しきに思い、ただ日が暮れしおり、馴染みのものにケノンといふ名の脱毛の女神の神器を教えられたり。

翁、その話を聞き疾く疾くと求め、手にいる。

 

女神のいふことにしたがひて、翁が神器を使ふこと二賭せのいふことにしたがひて、翁が神器を使ふこと半ねん、まづは腕の毛が隠れるなり。翁、ケノンを使い続け、ふたとせも経たぬうちに、世の人と同じ体になりけり。翁、女神ケノンを篤く奉り、のちに同じ悩みを持つものを救いけり。

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